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Canon T80

今回は前回までの機種から少し時間をさかのぼり、α-7000から2ヶ月後の1985年4月、キヤノン自ら『α-7000やF-501に太刀打ちできなかった』とコメントする悲劇の機体、アートロボT80です。定価85,000円。

T-80_1.jpg









T-80_3.jpg

T-80_2.jpg

当時、キヤノンは好評を博していたAシリーズの後継として、プラスチック感満載のTシリーズを展開していました。なかなか好評価されないシリーズではありますが、テクノロジーの解放といいますか、一眼レフをより身近にするという視点ではもう少し評価されてもよいシリーズだと思います。

1982年のコントラスト検出方式によるフォーカスエイド機AL-1から3年、同じコントラスト検出方式によってオートフォーカスを実現したのが本機です。3年という時間が短いとは言いませんが、一眼レフをさらに身近にするという、しごく順当な進化でした。

プログラム専用機ながら、より感覚的に作画をコントロールできる新世代のプログラム・モードも組み込まれました。現在のシーン・モードと呼ばれているものの元祖でしょうか。動いているものを止めて撮る、流し撮りする、ボケを最大にして撮る、できるだけパンフォーカスで撮る、といったそれまでであれば『絞りが云々、シャッタースピードが云々』と設定したものを、どのようにとりたいか、そのままカメラに指示できることが意図されました。複数ラインのプログラム自体はそれまでにもありましたが、
  ・ 動いているものを止めて撮る → 走る人
  ・ 流し撮りする → 走る人と流れる背景
  ・ できるだけパンフォーカス → ひとを3人ならべて3人を強調
  ・ ボケを最大にする → ひとを3人ならべてひとりだけ強調
のように、数値の上げ下げではなくアイコンで指定できるようにしたものです。このクラスのカメラを使うほとんどの人のほとんどのシチュエーションを一応カバーしていると思います。

T-80_4-1.jpg ノーマルプログラムモード

T-80_4-2.jpg ディープフォーカスモード

T-80_4-3.jpg ストップアクションモード

T-80_4-4.jpg シャローフォーカスモード

T-80_4-5.jpg フローイングモード

AF推進のためにFDマウントも電子化されました。キヤノンも、また向こう十年、市場のリーダーであり続ける体制が整ったと考えていたことでしょう。

しかし・・・・・・。

    『前年の春にT80の試作機を見て、イケると期待したのだが、それ以上にαが良すぎた』
                    (『新ライバル物語①』 産経新聞特集部編、柏書房、2004年)

露出制御

通常のPモードに加え、上記4つのシーン・モードを搭載。

ACレンズ(T80専用AFレンズ)ではないFDレンズをA位置以外で使うとバルブができます。さらに、FLレンズを使うと実絞りAEが使えます。よくわかりません。古いレンズを使うと機能が拡張される?

シーン・モードは○○優先の代用になるか?といえば、ムリでしょう。たとえば、『できるだけパンフォーカス』のモードで絞ってとろうとすると、たとえ晴天でもちょっと木陰に入ると露出不足になってPというふうに、シビアな設定が組み込まれているようです。F16ぐらいまで強制的に絞られてしまうのでしょうか?

露出補正は逆光補正のみ。AEロックなし。

あと、フィルムがオートローディングのため忘れがちなんですが、フィルムのISOは手動で設定です。

AF機構
合焦検出機構は1981年のペンタックスME Fと同じコントラスト検出方式で、α-7000からは1.5世代、F-501からも0.5世代ぐらい前の技術になるでしょうか。センサーの精度のせいか、パンフォーカス気味で遠くにピントをおきたい場合、すでに合焦させた気になっちゃっていることが多々あります。

なお、コントラスト検出方式は現在でも使われているもので、この方式自体が古いものというわけではありません。

レンズを駆動するモーターへの電源供給はボディから供給されます。そのため、前世代のAF機構と異なり、レンズが随分と軽く、小さくなっています。本体発売と同時に3本のレンズが用意され、システムとしての成熟も意識されていました。

既存のT-50、T-70とはボディも別設計になって、軽く小さくなったとはいえ依然モーター分だけ大きくならざるを得ないACレンズでもバランスが悪くなったりはしません。

プログラム専用機+AF機構でスタンダード機のお値段、ではなく、スタンダード機+AF機構でスタンダード機のお値段、で出てきたライバルが悪かっただけで、まるでプロトタイプというような批判を受けるほど悪くはない機体だと思います。

ファインダ

スプリット型のファインダですが、上下の二分スプリットではなく、縦横十字の四分スプリットになっているのが珍しいです。合焦させる時の像の動きは面白いものがあります。

マーケット事情

個体数が少ないことに加え、すでに所有者はマニアということなのか、流通のない機体です。定番の故障というものを聞かないので、出会いさえすればきちんと動くのではないかと思います。出てきたとすれば10,000~15,000円ぐらいでしょうか?幸い、私は標準レンズともジャンク扱いのものを、数千円で入手できました。

T-80_5.jpg

標準ズームズーミングはレバー式になっており、ズームはワイド端とテレ端しか使わない、なんてひとにとっては右手だけでズームできて便利です。レバーのトリム幅が小さいため細かい調整は難しく、ズームで構図を作るひとには片手でも両手でも不便かもしれません。

マニュアルでのフォーカスは、ほとんど考えられていません。フォーカシング・リングの外側に鏡胴の最外殻があるイメージで、その最外殻の小さな切り欠き(写真参照)から前玉を動かすのは非常につらいものがあります。

52mm径のフィルタが取り付けられますが、ひとたび取り付けるとこの最外殻のせいで取り外すのが非常に大変です。

Aシリーズ等既存のFDマウント機につないでも、外せないなどということはなく、絞りがA位置固定のFDレンズとして利用できます。利用しようという人もいないと思いますが・・・・・・。



ソニーのミラーレスデジタル一眼α7(≠ミノルタα-7)が登場したとき、本機に似ている!と思いました。

ミノルタのα-7000に比べればずっとおとなしいデザインで、古臭くもない飽きの来ないデザインだと思うのですが、機能同様デザインについても、いまいちいい評価は聞かないですね。

のっぺりとしたイメージの前面や左手側下部の切り欠きは、650を諸とするEOS中級機に引き継がれています。紛れもなく本機もEOSの源流のひとつといえるでしょう。
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テーマ : フィルムカメラ
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